年金

全世代型社会保障制度の中間発表|子供の未来へ気になる内容は?

12月 22, 2019

全世代型社会保障制度の中間報告

「全世代型社会保障制度」の実現に向けて、2019年12月19日政府の検討会議の中間報告が発表されました。

「全世代型社会保障制度」とは

まずはじめに「全世代型社会保障制度」について説明します。

そもそも社会保障制度は、国民の生活が何かしらの要因で困った時に、国が支援するものとイメージしてみてください。病気や怪我、子育て、介護、老後の生活などですね。これが現在の日本では、高齢者の給付の方に偏っています。

「全世代型」とは、高齢者だけでなく、子どもから現役世代すべての世代が安心して暮らせる社会保障制度というものです。

団塊の世代の方たちがすべて75歳以上になる2025年に向けて、「全世代型」の社会保障への転換を目指すことがきっかけとなっています。

消費税の負担を増やす代わりに、現役世代まで支援を広げ、「全世代」を支援する社会保障へ。また、「高齢者」にも経済力に応じた負担を求め、支え手に回ってもらおうという考えで進んでいます。

4つの分野ごとの中間報告

全世代型社会保障制度の内訳は、大きく年金・労働・医療・介護の4つの分野に分かれます。

今回の中間報告で、それぞれ、どのような内容が検討されているのか、主なものを詳しく見ていきます。

年金

年金の分野において、検討されている主な内容をご紹介します。

年金の受給年齢引き上げ

今の年金制度は65歳から受け取ることを原則に、60〜70歳の間でいつから受給するかを選べる制度になっています。

健康寿命や、働き続ける年齢が伸びていることから、これを75歳まで引き上げる方針です。実は、世界的に見てもここは既に引き上げている国が多いのです。日本はむしろ後れていると言えます。

年金の受給時期を選択できる制度については、下記の記事が参考になります。

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厚生年金の適用範囲拡大

パートなどの、就業時間や日数が短い人は、厚生年金に加入が必要な対象からは外れていました。働き方の多様化や、老後の生活資金に対する不安などを背景に、適用範囲を拡大する考えです。

現在は501人以上の大企業のみが、短時間就労者でも厚生年金が適用されていました。

これを50人を超える規模の企業まで拡大する予定です。

2022年10月に100人を超える規模まで、2024年10月には50人を超える規模まで、拡大することで段階的に進めていくようです。

在職老齢年金

老後も働いて一定以上の収入がある人は、年金の受給額を調整されるのが「在職老齢年金」です。調整と書きましたが、収入に応じて減少します。

この制度ですが、高齢者の就労意欲を促すため、年金が調整される収入の基準額を、引き上げる方針です。

60歳から64歳の人は、現在の28万円から47万円に引き上げられます。

一方、65歳以上の人は、高所得者の優遇になるなど、引き上げに反対の声もあり、今の47万円のまま維持します。ここは引き続き検討となるようですね。

在職老齢年金について、詳しく知りたい方は下記の記事が参考になります。

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労働

労働の分野において、検討されている主な内容をご紹介します。

70歳までの就業機会の確保

年金の受給開始年齢の引き上げとも連動し、就業機会を確保していく考えです。

事業主側の協力なしには難しいので、こちらの努力を求めていくとのこと。

年金の受給開始年齢が、選択できる範囲内で引き上げられるのであればいいのですが、そうでなければ就業機会の確保ができるかどうかは大きなポイントとなりそうです。

能力のある人は心配ないですが、誰もが上手く就労先を確保できるとは限らないため、この点にも配慮が必要と思います。

中途採用、経験者採用の促進

人生100年時代では、一つの会社に留まること自体が現実的ではないです。

その一方で、採用者全体に占める中途採用・経験者採用比率は、現状、企業規模が大きくなるに従って減少しているのです。伝統的に残る新卒一括採用中心の採用制度の影響ですね。

そこで、通年採用による中途・経験者採用の拡大を図る方針です。

転職希望者が中途採用に関して、企業に開示して欲しい情報は、「正規雇用の中途採用実績」の割合が54%と最も多いようです。大企業については、特にこの部分の開示を求められていきます。

副業、兼業について

副業を希望する人は増加傾向にあります。一方で、副業・兼業の解禁に積極的な企業は2割程度に留まります。その背景には、「過重労働への懸念」、「労働時間の管理・把握の困難さへの懸念」が多いのです。

今後はこれらを払拭できるような制度の整備、および、副業に係る労働法上の「労働時間規制」及び「割増賃金の取扱い」について、検討を必要としています。

医療

医療の分野において、検討されている主な内容をご紹介します。

75歳以上の負担を1割から2割へ

現在は病院での窓口負担が1割となっています。これを「一定以上の所得者」は2割まで引き上げるという方針です。「一定以上の所得」は具体的にまだ定まっていないものの、経済力がある高齢者あであれば現役世代と同様に3割負担をしてもらっていいのではないかと思ってしまいます。。

尚、長期にわたって頻繁に受診が必要な人への影響を見極めながら、適切な配慮を行う考えとされています。

紹介状なしの大病院での診察は負担増へ

現在でも紹介状のない患者さんが、大きな病院で受診される場合は、初診時に診察料だけでなく費用が上乗せされる制度になっています。

この対象となる病院を、病床400床以上から200床以上にすることで、中規模病院まで範囲を広げようとしています。また、合わせて負担費用も増やす予定です。

今後は医療施設やスタッフの数に対して、治療を必要とする人がより増えることが考えられます。初診から大病院へ行く人を抑制し、全体で最適化を図るためには必要な対応ですね。また、近くの病院など、かかりつけ医機能の強化も図る目的があります。

予防・介護

予防・介護の分野において、検討されている主な内容をご紹介します。

介護予防に向けた、体制の強化について方針が示されました。一方で、給付や負担についての具体的な話は見られませんでした。

介護インセンティブ交付金の強化

介護インセティブ交付金は、保険者や都道府県の介護予防への取組について評価をし、それに対して交付金を交付する仕組みです。

介護予防のため、下記のような取り組みを特に評価していくようです。

・運動などを通して高齢者の心身の活性化を促す

・地域の交流の場の拡大

・高齢者の介護助手への参加

持続可能性の高い介護提供体制の構築

介護分野の人材不足や今後のサービス需要の伸びに対応し、介護制度の持続

可能性を確保する必要があります。

・認知症施策の推進

・介護現場におけるロボット・ICTの導入加速化

・ペーパーレス化・効率化(簡素化・標準化・ICT活用)の推進

を図るとともに、介護報酬や人員基準の見直を進めるようです。

まとめ

以上が中間報告でした。

全世代に優しい制度となるには、まだまだ議論に時間を要する必要がありそうです。

特に、年金と就業の確保については、密接に関わってくるため、そちらへの配慮は今後が気になるところです。また、高齢者で経済的にゆとりがある人たちへは、大きな負担を求めないまでも、現役世代と同じ負担を求めてもいいのではないでしょうか。

今の高齢者層に、不利になる政策は打ち出しづらいと思いますが、見直しが甘いものになれば、未来の子供達はより一層の負担を強いられることになるでしょう。

もう年齢で区切るのではなく、経済力や、健康状態をベースに、社会を支え合う時代が来ていると考えます。すべての世代に優しい制度になりますように。

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