- 副業してます。本業の会社を退職したら失業保険もらえますか?
- 失業保険を受給中です。副業してもOKですか?
副業をする人が増えているので、最近はこんな疑問がある人もいるのではないでしょうか。
今回は、副業をしている川井大輔さん(仮名)のエピソードを交えて、こういった疑問にお答えします。
Contents - 目次 -
失業保険をもらうまでの体験談
副業を考えはじめた30歳
川井さんは広告会社に勤める30歳。
インターネット広告を中心とした広告代理店で、広告の運用業務をメインに働いています。
残業もそれなりに発生するため、それほど時間に余裕があるわけではありません。
家に帰れば奥さんと3歳になる息子さんもいます。週末はもちろん家族と過ごす時間も確保しています。
それでも将来のことを考えると、今の収入だけでは不安があり、副業にチャレンジすることを選びました。
インターネット広告の仕事は、リモート(在宅勤務)でも対応できるため、時間に融通の利く副業先を見つけることができました。
日々の生活は多忙を極めるのですが、本業が終わった後や、朝の時間を上手く捻出し、副業でも月収5万円を得られることになりました。
身体の疲れに限界を感じた生活スタイル
本業で得られることは多く、副業に比べ、いろんな部署の人と交流しながら仕事をすることは、成長の材料にもなっていました。
ただ、もともと時間に余裕がなかった川井さん。副業をはじめたことで、収入が増えたのは嬉しい反面、時間が更になくなり、睡眠時間が削られていきます。
子どものことや家族のことを考えた時に、今までと優先順位が変わってきたと言います。副業のため、削ったのは、飲み会への参加や、睡眠時間でした。副業の仕事をするのは、だいたい22時を過ぎてから。朝は5時には起きて、また作業に取り掛かります。
今はまだなんとかなっているが、この生活をずっと続けるのは厳しいな。。
そんな矢先、友人との何気ない会話から、転職して本業の働き方自体を変えることが、新たな選択肢となりました。
働き方を変えるため転職を決意
考えたのは、フレックスタイム制の会社への転職でした。フレックスタイム制とは、会社が定めるコアタイムに出社すれば、始業と終業の時間は、一定の範囲で、個人が自由に決めることができるというものです。(コアタイムすら設けない場合もあります。)
友人の山下さん(仮名)がフレックスタイム制の会社に転職した話を聞いて、川井さんも本業で働く時間を変えてしまえばいいんだ、と思いました。
フレックスタイム制を導入している会社は、それほど多い訳ではないです。ただ、転職サイトを見ていると、幸いにもインターネット広告関係の仕事であれば、いくつか探すことができました。
意外だった失業保険がもらえる条件
仕事がありそうなのは、わかった川井さん。肝心な、転職活動の時間の捻出がこれまた大変です。。
あらためて転職した山下さんに、転職活動の時間をどうやって作っていたのか聞いてみます。
驚いたことに、山下さんは一度退職してから、転職活動に専念したというのです。その間の生活費はどうしたのでしょうか。更に聞いてみると、山下さんは失業保険を受給したことでなんとかなった、ということでした。
失業保険って、失業した人じゃないともらえないんじゃないの?川井さんは思いました。
そう思う人も多いのではないでしょうか。(正確には、雇用保険の中の基本手当という制度です。)こちらは雇用保険に加入していた人が、一定の条件を満たせば、仕事を辞めたあと、新たに仕事を探している期間に手当がもらえるというものでした。
自分でも調べてみると、どうやら今の収入の50〜80%が、90日分はもらえる、ということがわかりました。今の半分でも90日分ももらえたら、節約しながら貯金と合わせれば、なんとかなる。そう思ったのです。
失業保険の手続きで発覚した2つの盲点
川井さんは副業を続けたまま、本業を退職し、新たな仕事先を見つけるため転職活動に専念することを選びました。以前の職場から離職票が届いた後、いざ失業保険の手続きへ向かいます。
ハローワークで職員の方に話を聞いてみると、盲点だったことが2つ。
それは、退職理由によって手当がすぐにもらえない「給付制限期間」と、副業を続けている
ことが、失業保険をもらう上で「失業状態」と認定されるかどうかでした。
まず「給付制限期間」について、これは本来、自分の都合で転職するような場合は、《自己都合退職》という扱いになります。そうなると、3ヶ月の間、手当がもらえないという制限期間が設けられます。
但し、川井さんの場合は、残業が多く、退職前も3ヶ月間継続して、月45時間以上の残業をしていました。これは一般的にみて、残業が多い部類に該当するため、《会社都合退職》の扱いとなりました。《会社都合退職》は、制限期間がつきません。
次に副業が「失業状態」と認定されるかについてです。
雇用保険に加入するような労働をした場合は当然「失業状態」ではないのですが、副業やアルバイトなどで、労働をしている場合はどうなるでしょう。
結論としては、1日4時間以上の労働をすると、「失業状態ではない」と判断されます。
これを1日単位で判断されます。
川井さんはだいたい3時間が基本で、1日で4時間を超えることはそうそうなかったので、これも大丈夫でした。
話を聞いている途中では、もしかしたら手当をもらえないかも。。と、ひやっとしたそうですが、たまたまクリアしていたから良かったと言えるでしょう。
更に、もう一点。
失業保険をもらうためには、最初に手続きに行き、「失業状態」を認定されてから《待機期間》を満たさなくてはいけません。
待機期間は7日間と決まっており、この間は副業・アルバイト問わず、一切働いてはいけません。ここで働くと、手当はもらえなくなってしまいます。
幸い川井さんの場合は、副業先が融通の利くところだったのか、待機期間中は労働をせずになんとかなったようです。
失業保険の受給、転職へ
無事に失業保険をもらえることになった川井さん。
決められた28日の認定サイクルで、ハローワークへ手続きに行きます。ここで、前日までの失業状態について、副業の仕事内容と時間、報酬を申告します。4時間を超えない作業だったので、対象の日数分の手当をもらえることができました。
注意したいのが、報酬の部分です。こちらはその大小によって、失業保険で本来もらえる金額を全額もらえるか、調整されるかが決まります。
失業保険をもらいながら、安心して次の仕事探しに専念できた川井さん。2ヶ月後には、念願のフレックスタイム制を導入した企業に勤めることができました。
現在では、副業や子どもの都合に合わせて、出社時間を調整することもできているようです。削りすぎた睡眠時間も、今ではある程度確保することができ、なんとか継続できる働き方で、収入アップに成功できたとのことでした。
今回のケースへの注意事項
今回の川井さんのケースいかがだったでしょうか。副業が絡んだちょっと珍しいケースと思われたかと思います。
但し、今後は副業を解禁する企業も更に増え、同じようなケースに該当する人も少しづつ出てくることが考えられます。
そこで、今回のケースで注意したい点について触れさせていただきます。
《待機期間》の7日について、今回は働いていなかったようですが、おそらく労働条件としては、月単位の契約となっていたことが考えられます。
そのため、作業を一切しなかったのは事実なのでしょうが、契約期間中というところの扱いが、今回のように他のケースでも適用されるのかは、なんとも言えないのが正直なところです。なぜなら、その様な場合を「失業状態」として認定していいのか、という論点があります。これは、契約モデル、労働時間、報酬の観点から判断されることになるだろうというのが、編集部の見解となります。
副業の流れで、まずは労基法や労災の見直しが進んでますが、副業者の失業保険の受給状況によっては、雇用保険側の見直しもあるでしょう。
今後、制度に見直しなどが入る可能性も十分考えられるため、最新の情報はハローワークのサイトからご確認ください。
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