派遣会社に勤めていた安藤絵美さん(仮名)の本当にあった話です。
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何があったの?
育児手当に高まる期待と不安
派遣会社に勤めて2年の絵美さん。30歳を前に待望の第一子を授かりました。
「子育て」に関する情報は早めにいろいろ知っておきたいと、有名な雑誌やInstagramをチェック。
そんな中で、「育児休業給付金」「出産手当金」の存在を知りました。
お友達の先輩ママからは100万円ぐらい変わるから、もらっておくべき!との話も聞きました。
「100万円?!そんなに?」
絵美さんの期待は高まります。
詳しく調べていくと、気になったのが、「もらえる人」と「もらえない人」がいる、ということ。
派遣社員ということもあり、正社員の人と同じように判断できないのが、情報収集の時にも頭を悩ませました。
ようやく理解した情報によると、どうやら「出産手当金」は、出産予定日の42日前まで仕事をしていないともらえないようでした。また、「育児休業給付金」は、会社を辞めなければもらえるようでした。
でも派遣の私は契約更新あるし、今は3ヶ月毎の更新だし、どういう扱いになるんだろう。。
不安が頭をよぎります。
職場への「妊娠」報告
妊娠4ヶ月目。
安定期に入り、派遣先の職場の上司に、妊娠の報告をするとともに相談しました。
結果的に、「今までの先輩たちも直前まで働くのは難しいから、体調をみながら少し早めに休みに入る」というものでした。
実際、担当している業務は2人で回しているものだし、階段の移動もあるから、難しいのはなんとなく理解できます。
でも100万もらえないのか。。なんとかならないかな、、そんな気持ちでした。
ほどなくして今の契約期間の満了時期が訪れます。
訪れる派遣契約の終了時期
妊娠6ヶ月目。
この頃には気持ちに諦めもついていて、まあしょうがないか、一緒に仕事している人にも迷惑かけられないしと、落ち着いていました。
派遣先での契約が終了し、当然手当はもらえません。
仕事を辞め、時間ができるとともに、絵美さんの情報収集も加速します。
すると、子どもが生まれた時や、その後掛かってくる費用も気になりだし、やっぱり少しでも身体が動く内は、なんとかお金を得る方法がないかな、、という気持ちです。
調べていると、派遣先の契約は終了してしまったものの、「派遣元」と直ぐに切れる訳ではないようでした。出産直前まで雇ってくれる「派遣先」が見つかれば、雇用が継続されているとみなされ、なんと手当はもらえるそうです。
派遣元である派遣会社さんに、お仕事を探してもらい、なんとか短期のお仕事で自分でもやれそうなものが見つかりました。
これでなんとか。。
そう思ったのも束の間、2,3日で直ぐに出るはずの書類選考の結果は予定よりも遅く、1週間経ってようやく連絡がありました。
結果は書類審査落ち。
結局のところ、妊娠中の女性を短期とはいえ雇ってくれる会社はなかなか無いというのが現状なのでしょう。。
流石にこれから今以上に短期の仕事はより一層難しいことが想像できたので、ようやくここで諦めることにしました。。
退職後に届いた一通の封書
正式に退職となったことで、しばらくして派遣会社から封書が届きました。
中身は退職した証明である「離職票」。
どうやらハローワークに持っていくと、失業保険がもらえるみたいです。
出産後はしばらく子育てに専念したい気持ちもあるけど、今後のお金のことを考えると、少しでも家計を支えられた方がいいよね。。
いつから働き始めるから未定のまま、とりあえずハローワークに行って先に話を聞いてみようと、気楽な気持ちで行ってみました。
ハローワークへ行くと、職員さんが派遣会社に勤める前の会社も含め、働いてきた年数やお給料を元に、失業保険がいくらもらえるのか教えてくれました。
そこでびっくり!
まさかの失業保険で100万円近くもらえるというお話でした!!
それはまさしく派遣だから私はもらえないんだ。。と諦めていた、先輩ママ友の話していた金額と同じでした。絵美さんは思わぬ形で100万円を受け取ることができるというのです。
100万円受け取れるとわかった時は本当に嬉しかったです。主人も予想外の金額に驚くとともに、とても喜んでましたね。笑
なんで派遣だと育児手当もらえないの?
今回、絵美さんの場合は、育児手当(出産手当金、育児休業給付金)がもらえない結果となりました。但し、派遣だからといってもらえないというものではありません。
条件を満たしていれば、派遣さんでも受け取ることはできる制度です。
ただ、絵美さんのように、契約更新のサイクルや業務内容によっては、出産直前まで働くことが叶わず、手当を受け取りづらくなるという状況は多いのではないかと考えられます。
みんなは実際どうなの?SNS上の声
育児手当もらえない問題。今回のケースに限らず、他の皆さんはどう思っているのでしょうか。
SNS上の声を見てみました。
少子化なのに、妊娠中仕事辞める妊婦は産前6週間前まで働かないと出産手当金をもらえないのキツイと思う。派遣や非正規雇用の方がロキソニン飲みながら、点滴打ちながら、仕事に行かないといけないってどうにかならないのかな。妊婦迷惑の風潮なんなの。
せめて産前8週までにしてもらえないかな。— いしこ☘️看護師 (@mosimonurse) September 5, 2019
生涯賃金のことを考えたら女性も仕事を続ける産休育休を取るのが大事だな。
そのためには最低でも、会社の近くに住むのが大事かも。
妊娠中に、満員電車1時間とか、車の運転1時間は無理がある。できない。でも出社しないと育休もらえない。
家の近くで仕事したい。
— うめこ 転妻 派遣社員で自由に生きる。 (@umecotentsuma) December 17, 2019
やはりそもそも、出産の直前まで働くこと自体が大変、という意見ですよね。。
*本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。
救ってくれた失業保険とは?
失業保険で、絵美さんは100万円近く受け取ることができました。
正確には、雇用保険の中の基本手当と呼ばれる制度です。
失業保険は、名前のイメージだと、「会社が倒産して失業してしまったとか、急に解雇された人がもらうもの」そんな風に思っている人もいるのではないでしょうか。
でも実際には、仕事を自分の意思で辞めた人や、もちろん転職者も利用できる制度になっています。
今回のケースでは、絵美さんが働くことを希望しているにも関わらず、派遣会社がお仕事を紹介するのが難しかったことが、退職の理由となります。
そのため、失業保険をもらう際の、退職理由が「会社都合」の扱いとなるのです。
自己都合ではなく会社都合になると、失業保険をもらえる日数が増えるというメリットがあります。
加えて、出産・育児のため休業が必要なため、その期間は休んでもらい、身体やお子さんが落ち着いてからお仕事を探すママさんを支援できる仕組みが用意されています。
それが受給期間の延長制度です。
原則の受給期間は1年だけですが、今回の理由であれば最大4年まで延長されます。
これによって、絵美さんは希望通り出産後しばらくは子育てに専念し、落ち着いて仕事を探すタイミングで100万円相当の手当を受け取ることができたという訳です。
更に、細かい話ですが、絵美さんの場合は、高校卒業後から働いていたため、出産の30歳の頃までには10年以上の勤務期間がありました。10年を越えると、失業保険をもらえる日数が更に増える条件になっており、これも絵美さんが救われた要因の一つとなりました。
まとめ
ポイントを整理します。
- 「育児手当」は条件でもらえない人がいるのが実情
- 派遣だからと言って必ずしももらえない手当ではない
- 出産のため退職しても「失業保険」はもらえる
- 「失業保険」は受給期間が最大4年である
派遣の方はもちろん、育児手当もらえるまで働けずに残念な思いをしている方は、この記事を参考に失業保険をもらうようにしてくださいね。
よくある妊娠・出産のメディアではここまで伝えられず、知らない人は多いです。
同じような状況で損している人を一人でも多く救うため、絵美さんの体験談をぜひ共有してあげてください。
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