こちらでご紹介するのは後藤理恵さん(仮名)のお父さんに起きた本当の話です。
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年金を放置なんて|何があったの?
後藤さんのお父さんである栄一さん(仮名)が、もらえる年金があるのに、それを放置していた。。
ということがありました。
栄一さんは、今年63歳です。(2019年現在)
63歳は「特別支給の老齢厚生年金」をもらえる年齢ですが、受給手続きをしないまま放置されていたのです。
理恵さんが久しぶりに実家に帰り、家族で食事をしている際に、たまたま年金のことが話題になりました。
理恵さんの旦那さんが年金に少しだけ詳しく、話を聞いていく内に、もらえるはずの年金が放置されていることがわかりました。
何でそんなことになったの?
栄一さんは、「年金」がもらえるのは「65歳」からと思っていました。
そして、年金を65歳よりも早くもらうと、年金の受給額は減少してしまうものと覚えていました。(老齢年金の繰上げ受給のことを言います。)
確かに、今の制度では原則65歳からの支給です。
また、繰上げ受給をすることで、原則の「年金」を65歳前からもらうことはできますが、一方で受給金額は下がってしまいます。ここまでは正しいのです。
しかしながら、現在50代・60代の方で、会社に勤めて来られた方であれば、「特別支給の老齢厚生年金」をもらうことができます。
これは、65歳前でも受け取ることができる年金なのです。尚且つ、「原則の年金」とは異なるため、65歳前で受け取ったとしても、「原則の年金」が減少することはありません。
ちょっと複雑ですよね。。
そんなことまで知らなかった栄一さんは、年金が下がるのは勿体ないから、働ける内はもう少し働いて、65歳になってからもらえばいいと考えました。
「年金事務所」で、ご自分の受給内容について説明を受けたにもかかわらず、おそらく制度がややこしいせいで、正しい内容を理解できず、受け取らないほうがいい、と結論付けてしまったのです。
ここまででも慣れない人にはややこしい話ですが、実は起きていた事象はもっとややこしかったのです。
とは言え、60代前半は働くのが当たり前になっている今の時代においては、当てはまる人が多いお話です。
実際には、仕事は退職せずに「年金」をもらうかどうか、の話になりました。
老後も働きながらもらう年金は「在職老齢年金」と言って、収入額に応じて、もらえる年金が減少してしまう制度になっています。
栄一さんはお仕事を継続されるため、この話も加わり、今は受け取っても「年金」は下がる、ということが印象として強く残ってしまったようです。
結果として、受け取ってもその後の「原則の年金」には影響が無いにも関わらず、「特別支給の老齢厚生年金」をもらわない状態になってしまっていました。
そんなことってあるの?
そう、皆さん思われますよね。。
でも実際に複雑な制度の仕組みの話を聞いて、年金が下がるイメージを持ってしまうと、どうでしょう。
じゃあ65歳になってからでいいや、となる人は一定数いるでしょう。
ちなみに、今回の栄一さんは「年金事務所」に行っているだけまだいい方です。
週刊現代さんに寄ると、申請漏れで年金をもらっていない人は、なんと125万人もいると言うのです。。
125万人が忘れている「申請しないともらえない年金」をご存知ですか : https://t.co/KVa0bybueP #現代ビジネス
— 現代ビジネス (@gendai_biz) August 31, 2019
*本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。
今回のケースで特に気をつけたい世代は?
では、実際に今回の栄一さんのように「特別支給の老齢厚生年金」が対象になる人とはどんな人なのでしょうか。
会社に勤めて厚生年金に加入していた人が前提になりますが、何年生まれかによって、対象かどうかが決まっています。
条件は、以下の通りです。
- 男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと。
- 女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと。
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
- 厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
- 60歳以上であること。
*日本年金機構より引用
いくつか条件はありますが、男性であれば現在58歳以上の方、女性であれば53歳以上の方が対象となります。(2019年12月現在)
まとめ
ポイントを整理します。
- 「65歳」前でももらえる年金もある
- 現在「50代・60代」の方は要注意
- 「繰上げ」「在職老齢年金」は受給額が下がる
- 申請漏れを教えてくれる人はいない。。
いかがだったでしょうか。
案外もらえるものもらってなくても、お尻を叩いて教えてくれる人っていないものなんです。。
ご自身や周りの方で、知らずに損をしている方がいれば、ぜひ教えあげてください。
受給には時効があり、受給できるタイミングから「5年」を過ぎるまでは、年金事務所で手続きをすることで、申請が遅れていても受給することができます。
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