学生だったり、経済的にきつかった、などの理由で、年金を支払えなかった時期がある方もいらっしゃいますよね。 そんなあなたでも、国民年金の追納制度・任意加入制度を活用することで、将来受け取れる受給金額を増やすことができます。
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国民年金の追納
国民年金の追納制度とは
国民年金の追納制度とは、簡単に言うと、納付期限を過ぎてからでも、保険料の納付を認めた「後払いの制度」です。
本来は、年金の保険料を、期限通りに納付しなければなりませんが、経済的な理由や、何かしらの事情により納められなかった人を、救済する措置となります。
追納の対象者
国民年金の保険料の支払い免除や・支払い猶予を受けた方が対象となります。
*免除・猶予制度を受けた人は、将来受け取れる年金の受給額が減額されるので、少なくなります。
関連記事年金の免除とは|未納で放置するよりも免除や納付猶予を活用しよう
注意事項
追納ができるのは、申請が承認された月の前月から10年以内の免除期間に限られています。
(例:平成31年4月分は令和11年4月末までです。)
受給金額への影響(増額分)
追納をすると、シンプルに将来の年金受給額が増えます。
仮に、学生の頃に2年間未納だった分を、働いて少し余裕ができてから支払うとします。
2年分の保険料およそ40万円をすべて追納すると、「約4万円」将来の年金が増額します。
内訳は、以下の通りです。
国民年金は、未納なく全て納めた場合、満額で780,100円です。(2019年現在)
満額に必要な期間が480月(40年×12月)となります。
780,100円/480月=約1,625円(1ヶ月あたり)となるので、
1,625円×24月(2年×12月)=39,000円→約4万円となります。
逆に言えば、2年間未納分があると、「約4万円」減っている状態です。
当然こちらの未納期間が長ければ長いほど、将来受け取れる年金は少ないですし、追納することで増やせる金額の幅も大きいと言えます。
また、仮に原則の65歳から年金を受け取り、90歳まで生きるとすると、25年間、年金を受給することになります。
2年分にあたる保険料を追納することで、
「約4万円」×「25年」=100万円
も増額します。
追納で支払うのは40万円だったので、2倍以上も得しますね。
ここまではイメージをつかむための一例ですが、実際には、年金の免除・猶予制度で適用を受けた種類によって、追納すべき金額は異なります。
種別 | 追納額 |
全額免除 学生免除 納付猶予 |
保険料の全額 |
3/4免除 | 保険料の3/4 |
半額免除 | 保険料の半分 |
1/4免除 | 保険料の1/4 |
また、ここで注意点があります。
追納は10年以内であればできると前述していますが、3年度目以降の分からは一定の金額が加算された保険料を納付する必要があります。
そのため追納制度があるとは言え、支払えるようになったら早めの納付がおすすめです。
更に詳細を確認したい場合は、お近くの年金事務所でご自身の対象期間、および加算も含め必要な保険料を確認されるとよいでしょう。
尚、参考までに、追納は社会保険料控除の対象となります。そのため、年末調整や確定申告で、税金が多少安くなり、過払い分が還付されることがあるのでそちらも知っておくとよいでしょう。
国民年金の任意加入
国民年金の任意加入制度とは
まずはじめに国民年金は、原則20歳から60歳まで保険料を納めるものです。
ただ、それが何かしらの理由で、納められなかった場合、将来受け取れる年金は減りますし、極端に未納期間が長いと最悪の場合、年金が受給できない、なんてこともありえます。
(国民年金の受給には保険料の納付済期間と免除期間の合算で、最低10年以上が必要です。)
そんな方への救済措置が、任意加入制度です。
希望者は申請することで、60〜70歳までの間、満期(480月)を満たすまでは、引き続き保険料を納めることが可能です。
任意加入の対象者
日本年金機構のサイトによると下記の通りです。
次の1.~4.のすべての条件を満たす方が任意加入をすることができます。
- 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
- 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
- 厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
- 年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の方も加入できます。
- 外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方も加入できます。
- 1.の60歳以上65歳未満の方は、60歳の誕生日の前日より任意加入の手続きをすることができます。
受給金額への影響(増額分)
増額のイメージは、追納制度と同様です。
納める保険料は、60歳までの仕組みと同じですので、通常の方と同じ保険料を納めることとなります。
免除・猶予制度を申請していない方へ
免除・猶予制度を申請していないから関係ないと思ってしまったあなたへ。
国民年金は、納付期限を過ぎても、2年以内であれば支払うことができます。
まだ2年を超えていなければ今からでも遅くはないので、できるだけ納付して将来の受給金額を増やしましょう。
ちなみに、免除・猶予制度の対象になっている方が後から納付する「追納」に対して、こちらのただ単に遅れた納付は「後納」と言います。
平成30年9月30日まで5年遡って納められる後納制度、平成27年9月30日まで10年遡って納められる後納制度が、期間限定で設けられていましたが、現在は終了しています。
まとめ
ポイントを整理します。
- 未納者には年金を増やす3つの選択肢がある(追納・任意加入・後納)
- 保険料は払える時に早く納付しておいた方が良い
- 納付した方が年金が増額してお得
ただ、老後の生活資金を少しでも増やそうと考えた時に、有効な選択と思います。
また、そもそもですが、免除・猶予制度の適用を受けていない未納状態ですと、「督促状」が送付され、それでも支払わなければ、「財産の差し押さえ」もありえます。未納状態を軽く考えている方がいらっしゃいましたらご注意ください。
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