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年金の免除とは|未納で放置するよりも免除や納付猶予を活用しよう

2月 3, 2020

年金の免除とは|未納で放置するよりも免除や納付猶予を活用しよう

国民年金の保険料を支払う余裕がありません。

免除制度ってなんでしょうか?

こんな疑問に回答します。

国民年金の保険料免除制度・納付猶予制度とは

国民年金の保険料免除制度とは、事情があって経済的に国民年金の保険料を納付する余裕がない方に対して、その支払いを免除してくれる制度です。

もちろん支払う余裕がある人は対象外ですが、この制度によって経済的に余裕がない人を救済しています。

支払いが免除になると、該当期間に応じて、将来もらえる年金額は調整されます。免除制度には、全額免除・3/4免除・2/1免除・1/4免除の4パターンがあります。

また、免除ではなく、支払いを猶予してもらえる制度もあります。(これを納付猶予制度と言います。)

それぞれ下記のように定められています。

保険料免除制度とは
所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、ご本人から申請書を提出いただき、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。

保険料納付猶予制度とは
20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、ご本人から申請書を提出いただき、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます。
※ 平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象となります。
引用:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構

 

これらについて、詳しくみていきます。

対象者・条件|誰が免除されるの?

経済的に国民年金の保険料の支払いが困難な方を対象に、「保険料の免除制度」および「納付猶予制度」が適用されます。

それぞれ対象者を整理します。

免除制度の対象者

・国民年金を支払うべき人
・20歳以上60歳未満
・本人、世帯主、配偶者の所得が一定金額以下

所得審査の対象となる《本人・世帯主・配偶者》の所得金額によって、免除制度が適用されるか否か、どの程度免除されるかが決まります。

納付猶予の対象者

・国民年金を支払うべき人
・学生または20歳以上50歳未満
・本人、配偶者の所得が一定金額以下

所得審査の対象となる《本人・配偶者》の所得金額によって、納付猶予が適用されるか否かが決まります。

所得基準は、下記の表の通りです。

種別 所得基準額
全額免除 「(扶養親族等の数 + 1人) × 35万円」+ 22万円
3/4免除 78万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額等
1/2免除 118万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額等
1/4免除 158万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額等
納付猶予 78万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額等

注意
所得は前年の所得で計算されます。
上記「扶養親族等控除額」「社会保険料控除額等」は、年末調整・確定申告で申告された金額です。

保険料免除と納付猶予の違い|選べる場合どっちがいいの?

保険料免除と納付猶予、どちらも条件を満たせそうです。この場合はどちらを選んだ方がいいでしょうか。

そんな疑問に答えます。

保険料免除と納付猶予の特徴

保険料免除納付猶予制度の異なる点を表にまとめてみました。

免除/猶予 種類 対象年齢 所得の審査対象 受給資格期間への算入 年金額への算入 追納
納付 - - - -
免除 全額免除 20〜60歳 本人・世帯主・配偶者
3/4免除 20〜60歳 本人・世帯主・配偶者
1/2免除 20〜60歳 本人・世帯主・配偶者
1/4免除 20〜60歳 本人・世帯主・配偶者
納付猶予 納付猶予 20歳〜50歳 本人・配偶者 ×
学生納付特例 学生 本人・配偶者 ×
未納 - - - × ×

ポイントは以下を抑えておきましょう。

  • 「免除」は保険料を支払わなくても年金額へ算入してもらえる
  • 「納付猶予」は年金額へ算入されない
  • 「免除」も「納付猶予」も追納できる

免除・納付猶予ともに条件を満たしている場合は、免除を受けた方がいいですね。

適用期間分は将来受け取れる年金が減額調整されますが、猶予制度ではそもそも年金額の計算対象になりません。

いづれも支払いに余裕が生まれた時に、後からでも年金の保険料を支払うことができるようになっています。これを「追納」と言います。

追納について詳しくご紹介します。

追納について

追納は、支払いがきびしくて保険料の免除もしくは納付猶予制度を利用した人に適用されます。

適用された期間分の年金額は減少してしまいますが、余裕が生まれてから該当分を納付することができます。これによって、将来の年金額を満額に近づけることができます。

追納できる分には期限があり、本来の納期限から10年以内に納める必要があります。

一方で、免除・猶予制度のいづれも申請せずに、ただ単に未納だった方は、後から納付しようと思っても遡って納付できるのが2年分のみとなります。

そのため、年金を増やしたいと思った時には、直近の前2年分しか納付できず、その分しか年金を増やすことができないのです。これを追納に対して「後納」と言います。(過去は、平成30年9月30日まで5年遡って納められる後納制度、平成27年9月30日まで10年遡って納められる後納制度が、期間限定で設けられていましたが、現在は終了しています。)

注意
未納の場合は、後から年金が必要と思っても、将来の年金が増やせないどころか、もらう資格もなくなってしまいます。
現在は支払いが難しい場合でも、未納で放置せず、保険料の免除もしくは納付猶予を申請しましょう。

将来の年金額への影響

免除制度納付猶予制度を利用した場合は、将来の年金額が調整されて、通常通り納付できている人に比べると少し減少してしまいます。

減少の内容は下記の通り定められています。

全額免除
平成21年4月分からの保険料の全額が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(平成21年3月分までは3分の1)が支給されます。

4分の3免除(納めた保険料額 4,100円:令和元年度)
平成21年4月分からの保険料の4分の3が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の5/8(平成21年3月分までは1/2)が支給されます。

半額免除(納めた保険料額 8,210円:令和元年度)
平成21年4月分からの保険料の2分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の6/8(平成21年3月分までは2/3)が支給されます。

4分の1免除(納めた保険料額 12,310円:令和元年度)
平成21年4月分からの保険料の4分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の7/8(平成21年3月分までは5/6)が支給されます。

納付猶予制度
納付猶予の期間は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間にカウントされますが、老齢基礎年金額の受給額が増えることはありません。

引用:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構

わかりづらいですが、内容としては、国が対象者の分まで一部お金を負担して、その分を年金で受け取れるようにしてくれています。

免除額が大きいほど、本来必要な保険料を支払っていない訳なので、受け取れる年金も少なくなる構造です。

尚、参考までに、本来の満額受給の金額と、全額免除を受けた場合の金額は下記の通りです。

・40年納付した場合:780,100円(満額)
・40年全額免除となった場合:390,100円

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申請手続き|どうやったら免除されるの?

保険料の免除もしくは納付猶予を利用しようと思った場合は、お近くの市役所(区役所)へいきましょう。

国民年金の窓口があるので、そちらへ申請書を提出してください。

まとめ

ポイントを整理します。

  • 経済的に支払いがきびしい時は、免除・猶予制度が適用される
  • 適用されると年金は減るが、後から追納することもできる
  • 未納で放置すると、将来年金がほしくなってももらえない

国民年金の保険料を支払うのがきびしくても、未納で放置する前に「免除」「納付猶予」制度が使えないか確認してみましょう。

老後の年金として、備えられるものは備えておきたいですね。

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Shahot編集部 【監修】鈴木社会保険労務士事務所

Shahot編集部です。 わかりづらいことが多い社会保障制度。誰でもわかりやすく、使いやすくなるような情報を発信します。 社会保障の専門家である社会保険労務士が記事を監修しています。 [→Shahotとは

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