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扶養の範囲内でアルバイトやパート勤務をする人が知っておきたいこと

1月 20, 2020

扶養の範囲内でアルバイトやパート勤務をする人が知っておきたいこと

働く時間を「扶養の範囲内」でおさえた方がいい、とよく聞きます。
メリットは多そうですが、デメリットは気にしなくてもいいでしょうか。

そんな疑問にお答えします。

「扶養の範囲内」で働くとは?

よく聞く「扶養の範囲内」で働く、とはどういうことなのでしょうか。

そもそも「扶養」とは、子供や高齢者、妊産婦の女性、重い病気や怪我を負っている人、失業者など、自己の労働収入で生活を営むことができない人を、他者が支援することを言います。

これが基本的な考えですが、家族の誰かと扶養関係になるには、働いていけない訳ではないのです。

アルバイトパート勤務などで、決められた収入の範囲内でしか働かない場合は、扶養関係になることができます。これを「扶養の範囲内」で働くと言います。

尚、扶養に入っている方を「被扶養者」と言います。

*2018年に法改正があり、決められた「収入の範囲」の上限が若干引き上げられています。

アルバイトやパート勤務で「扶養」に入るメリット

扶養に入ると、「なんとなく負担が減るからお得」とだけ認識している人は多いでしょう。

ここであらためて、扶養に入るメリットを整理します。

扶養に入るメリットは大きく分けて「税金の負担が減ること」、「社会保険料の負担が減ること」この2つが挙げられます。

これによって、労働時間を減らしても手取り収入は大きく下がらず、時間にゆとりをもてることが、扶養に入る人が考える大きなメリットになるでしょう。

それぞれのメリットについて、詳しく説明します。

税金の負担について

税金の負担軽減のメリットは2点あります。

1:被扶養者の所得税が掛からない

被扶養者(扶養に入る人)の収入が、年間103万円を超えない範囲内であれば、所得税は掛かりません。

2:扶養する側の税金が一部控除される

被扶養者の収入が「年間201万円以下」であれば、その扶養者の税金が安くなります。

イメージを湧きやすくするため、ここでは被扶養者を妻、扶養者を夫と読み替えてみましょう。

妻の収入が「A.年間150万円以下」であれば、夫の収入から『配偶者控除』分として「B.38万円」が引かれ、その結果、夫の税金が安くなります。

Bの金額によって、夫の税金に影響があります。

このBの金額は、「妻の収入.A」および「夫の収入」によって、異なります。

考え方としては、収入が多い人ほど、税金控除額も小さくなります。

妻の収入は、201万円を超えると控除対象ではなくなります。また、夫の収入は1120万円を超える人から控除額の変動対象となります。

よく気にされるのが、最大限控除を受けられる、妻の収入「年間150万円以下」の方です。

*妻の年収が150万円を超え、201万円までは『配偶者特別控除』と呼ばれます。
*法改正前は最大限控除を受けられるのが103万円以下でしたが、2018年の法改正より150万円に引き上げられています。

社会保険料の負担について

社会保険料の負担が軽減できるメリットがあります。

扶養に入ることで、「健康保険」と「国民年金」の保険料を払わずとも、保険を受けられますし、扶養期間を反映させた年金をもらうことができます。

そのため、シンプルにその分の保険料を支払わなくていい点が、大きなメリットになります。

会社員となり、厚生年金に加入した場合と比べると、将来的にもらえる年金は少なくなります。その点についても理解しておきましょう。

アルバイトやパート勤務で「扶養」に入るデメリット

ここまで聞くと、扶養に入るメリットが大きいように思いますが、デメリットはないのでしょうか。

デメリットになりえる点が3つあるので、こちらでお伝えします。

  • 労働収入を増やすことができない
  • キャリアが形成しづらい
  • 仕事に物足りなさを感じることもある

労働収入を増やすことができない

まず前提として、扶養の範囲内で収入を抑えようとするため、労働収入を増やすことができないことが大きなポイントになります。

たしかに、税金や社会保険料の負担軽減で、手取り収入は増やすことができますが、一定の金額を以上を稼ぐことはできないので注意が必要です。

逆に言えば、お金を増やすことよりも、働きやすい時間だけ働いて、その範囲でできるだけ手取りを増やしたい場合に、扶養に入ることは適していると言えます。

キャリアが形成しづらい

扶養の範囲内で働くということは、収入に上限ができ、結果として労働時間も制限されてきます。その結果、限られた時間内で企業が任せられる仕事の中から、仕事を選ぶことになります。責任のある仕事や、難しい仕事を任せられる機会も減ることが考えられます。

そのため、そういった選択が狭まることも踏まえて、判断できると良いでしょう。

仕事に物足りなさを感じることもある

前述の項目とかなり近しい理由になります。企業側が、働く時間が限定した人に仕事を任せるにあたり、どうしても任せられる仕事が限定的になってしまいがちです。

扶養に入る前に、何かと色んなことにチャレンジしてきた人ですと、仕事自体に物足りなさを感じてしまうこともあります。

まとめ

ポイントを整理します。

  • 扶養の範囲内であれば税金と社会保険料の負担が軽減
  • 労働時間を減らしても手取りが大きく減らない可能性
  • 税金の負担軽減は収入によって変動
  • 労働収入を増やすことはできない
  • 仕事やキャリアの選択肢が限られる

個人の考え方や、家族の状況によって、扶養に入ることがいい場合もあれば、そうでない場合もあります。

特に最近では、平均寿命の伸びや年金の受給額の変化によって、老後2000万問題のように生活費の心配から、働き方を見直している人が増えています。

デメリットも理解した上で、扶養に入ることを判断するようにしましょう。

尚、扶養に入って失業保険をもらおうと考えている人に知っておいてもらいたい内容もあります。該当する方はこちらの関連記事もご確認ください。

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