旦那が亡くなった場合に、妻だけがもらえる年金があると聞いたのだけど詳しく教えてほしい。
こんな疑問に回答いたします。
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遺族厚生年金の追加給付とは
被保険者が亡くなった場合、残された家族に支給される遺族年金。
この遺族年金の中でも、厚生年金保険の制度である「遺族厚生年金」には、妻だけがもらえる追加給付があります。
それは「中高齢の寡婦加算」と「経過的寡婦加算」です。
いづれも亡くなった方の妻が対象となっている制度です。逆の場合でも、夫は対象となりません。
では、それぞれ内容を見ていきましょう。
中高齢の寡婦加算
まずは中高齢の寡婦加算から解説します。
遺族厚生年金の受給権者である妻が、40歳以上65歳未満で条件を満たしていれば、5851,00円が支給されます。
*金額は2020年(令和2年)1月現在のものです。
中高齢の寡婦加算は下記の通り定められています。
遺族厚生年金(長期の遺族年金では、死亡した夫の被保険者期間が20年以上の場合(中高齢者の期間短縮の特例などによって20年未満の被保険者期間で老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人はその期間))の加算給付の1つ。遺族基礎年金は子どものいない妻には支給されませんし、子がいてもその子が18歳(18歳の誕生日の属する年度末まで)または20歳(1級・2級の障害の子)に達すれば支給されなくなりますが、夫が死亡したときに40歳以上で子のない妻(夫の死亡後40歳に達した当時、子がいた妻も含む)が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、中高齢の寡婦加算(定額)が加算されます。妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受けられるため、中高齢の寡婦加算はなくなります。
原文のままですとわかりづらいため、要点を整理します。
1:受給条件
遺族厚生年金の受給権がある妻であって、次の条件のいづれかに該当する人が受給することができるものとなります。
- 旦那さんが死亡した時の年齢が40歳以上65歳未満であって、子どもがいない場合
- 40歳になった時に「遺族基礎年金」をもらっていたが、子どもが支給条件から外れたことで遺族基礎年金をもらえなくなった場合
2:受給金額
中高齢の寡婦加算でもらえる金額は、585,100円となります。(2020年(令和2年)1月現在)
これは「遺族基礎年金」の4分の3にあたる金額となります。
遺族厚生年金で支給される金額に、中高齢の寡婦加算の額が合算されて支給される形になります。
3:支給期間
支給期間は、受給権者である妻が、40歳以上65歳未満の期間が対象となります。
妻が65歳となると自分の老齢年金がもらえるようになるため、遺族年金はもらえなくなります。
経過的寡婦加算
経過的寡婦加算は下記の通り定められています。
遺族厚生年金の加算給付の1つ。遺族厚生年金を受けている妻が65歳になり、自分の老齢基礎年金を受けるようになったときに、65歳までの中高齢寡婦加算に代わり加算される一定額を経過的寡婦加算といいます。これは、老齢基礎年金の額が中高齢寡婦加算の額に満たない場合が生ずるときに、65歳到達前後における年金額の低下を防止するため設けられたものです。その額は、昭和61(1986)年4月1日において30歳以上の人(昭和31(1956)年4月1日以前生まれ)の人が、60歳までの国民年金に加入可能な期間をすべて加入した場合の老齢基礎年金の額に相当する額と合算して、ちょうど中高齢寡婦加算の額となるよう、生年月日に応じて設定されています。65歳以降に初めて遺族厚生年金(長期の遺族厚生年金では死亡した夫の被保険者期間が20年(中高齢の期間短縮の特例などによって20年未満の被保険者期間で老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人はその期間)以上)を受け始めた妻にも加算されます。
原文のままですとわかりづらいため、要点を整理します。
1:受給条件
中高齢寡婦加算をもらっていた妻のうち、昭和31年(1956年)4月1日以前に生まれた人が対象となります。
この方が65歳になった時に、自分の老齢年金が受け取れるため、遺族年金の支給が終わりますが、「経過的寡婦加算」が特別に追加で支給される形となります。
また、昭和31年4月1日以前に生まれ、65歳になってから遺族厚生年金がもらえるようになった妻にも支給されます。
2:受給金額
支給額は次の計算式で算出されます。
「経過的寡婦加算額」=「中高齢の寡婦加算額」-「老齢基礎年金の満額 × 生年月日に応じた率」
妻の生年月日によって異なり、生年月日が遅くなるにつれて支給金額は減少します。
受給方法・申請手続き|どうやったらもらえるの?
遺族年金は手続きが少々面倒なため、社会保険労務士さんへ相談するのがオススメです。
初回の相談は無料で対応してくるところも多いです。ホームページなどで、相談料を事前に確認して問い合わせてみるのがよいでしょう。
とりあえず自分でやってみようと思った方は、お近くの市役所や年金事務所などで相談してみましょう。そこで難しいと思ったら、社労士さんに相談でもいいですね。
まとめ
ポイントを整理します。
- 40歳以上で条件を満たせば遺族厚生年金の追加給付がもらえる
- 65歳になって自分の老齢年金と遺族年金は同時にもらえない
- 昭和31年4月1日以前に生まれた人は65歳過ぎても追加でもらえる分あり